Q-12.SCRは耐用年数等がありますか?何年かで交換しなければいけないのですか?
A-12.SCRは無接点スイッチ(Solid state)であり、設計・計画内の諸元値以内で使用された場合ほぼ半永久的な耐用年数で使用できます。
SCRの損傷の原因は下記の4つの要因がありますが、その諸元を満たした設計がされています。
(下記は低圧仕様に対して)
- 1)
- サージ電圧による損傷
許容耐圧を大きく超えた電圧が印加された事を意味し、SCRの許容電圧は1400Vまたは
1600Vであり、AC440V 3倍の耐圧を保持します。
- 2)
- サージ電流による損傷
サージ許容電流を大きく越えた電流が通過した時、損傷を受けます。例えば1200Aフレームの
SCRの許容サージ電流とは、25500A/125℃:10msであり、使用されている環境では使用電流
の21倍の過電流は短絡事故以外には通常なく、制御基板回路上で600%(6倍)を超えた時、
瞬時遮断の保護回路を装備しておりますのでサージ電流による損傷を回避で出来る構造になってます。
- 3)
- 過熱による焼損
SCRは素子の性能から、温度による限界温度は素子の中心点(ジャンクション)で
125℃を超えると素子の破壊が起ります。
弊社では出荷前にヒートランテストを行っており、例えば1200Aフレームの場合、
1000Aを全SCRに通電し、SCR外周の温度上昇を計測しています。
通電によるSCRの温度上昇を50℃以内に設計されており、これは環境温度50℃
としますと、SCRの温度は100℃以内入る様に設定します。もしこの温度を超える場合
ヒートシンクに装備されているサーモスイッチが90℃を示した時何らかの警報を出します。
これらは冷却ファンが止まった状態で運転した場合生じる事です。
- 4)
その他SCR損傷の原因と考えられる要素はSCRの初期不良が考えられます。
これらに対処するため、弊社では工場出荷までに600回の始動テストを全機種行っており
初期的不良品を納品しないシステムにしてます。
したがって、SCRは半永久的に使用して頂けます。
ヒートランテスト
上記は 1200A フレームの SCR スタックに 1000A を流した時の SCR のケースの温度上昇記録です。
室温 18 ℃の時、サチレートした温度 39 ℃です。これはケースと中心部(ジャンクション)との温度差を
5 ℃と考え、 SCR の温度上昇 26 ℃であり、と余裕のあるスタックと考えます。